[1990年代の台湾] 年中行事から台湾社会は女性が優待される傾向がある

台湾人は、「信仰心厚き人々」で述べたように宗教行事にとどまらず他の行事にも熱心に参加していると思われる。

台湾と日本の年中行事は同じような名称であるが、その中身がまるで異なることが多く、主役が女性である行事がやたらと多いような気がする。

旧正月とほぼ同時期にやってくるバレンタインデー

台湾で暮らす人々にとって、旧正月の時期は大型休暇で、学生は正月を挟んで約一ヶ月は休みになる。なお、旧正月は、例年1月下旬から2月上旬であることが多いようである。

私は、その時期に日本に一時帰国することが多いが、2月14日のバレンタインデーを日本で迎えることになる。

台湾では男性が女性にチョコを贈る

日本のバレンタインデーには女性が男性にチョコレートを贈るのが常識だが、台湾では逆に男性側が女性に贈るのが習わしである。

チョコより苦い日本のバレンタインデーの思い出

バレンタインデーを間近に控えたある日のこと、妻からプレゼントをせがまれた。

なにしろ新婚だったし、妻は生まれてこの方その日にはずっと女性が貰うものだと思い込んで育ったので、そんな彼女の要求をそううまく断われない。

結局、私は妻に日本男性の立場を説明する前に日本のデパートのバレンタインフェアなる行列に加わることになった。

しばらくすると、言い様のない異様な雰囲気に包まれた。いや、そうではなく、男が並んだことで異様な雰囲気になってしまったのだろう。一度並んだ列から逃げ出すのは更に勇気が要るもので、じっと順番を待った。

店員がリボンを手に、贈り物ですか、と問い掛けたときには気が動転しそうだった。

翌年からはフェアの始まる前にコンビニでチョコレートを買うようにした。

台湾のバレンタインデーは義理チョコなし。あげる対象は恋人と配偶者のみ

台湾のバレンタインデーは日本と様子が異なる。

まず、その意義からして違う。

日本ではあらかじめ狙いを定めた意中の人がいて、この時とばかり思いのたけを相手に伝える場合が多い。

しかし、台湾では恋人か配偶者に愛情の確認として贈り物をする。しかも、前述したように男性から女性にである。

贈り物は多岐

贈る相手が恋人や配偶者だからか、チョコに限らず、気前よく高価なアクセサリーを贈ったり、キャンドルライトが灯るテーブルでリッチなディナーを御馳走したりする。

かようにプレゼントは多様であり、独創的で趣向を凝らしたものでも構わない。

もはや悲喜こもごもの日にあらず

また、既述したようにそもそも告白を目的とした日ではないので、泣くこともなければ泣かされることもないし、一人を取り合う競争も起こりえない。

また、誰からも告白されず、チョコさえもらえないと嘆くこともないので、いたって平穏である。

恋人や配偶者だけに贈るので、義理チョコすらも存在しえない。従って、散財することもない。

この日は愛する者達のためにあるようなもので、街が妙に華やいで見える。

恋人のための日は年2回

遅ればせながら、バレンタインデーは『情人節(恋人の日)』と呼ばれる。

ところが、恋人の日と呼ばれる日は、1年に2度ある。

バレンタインデーが西洋版の行事なら、もう一つは中華版の伝統行事である七夕である。

七夕にも男性が女性に贈る

日本では子供の年中行事の一つだが、台湾では恋人達のための日である。バレンタインデー同様、恋人達は思い思いに甘い時を過ごす。しかし、この日にもやはり男性がお金を使う。

ホワイトデーはどうなのか

バレンタインデーにも七夕にも男性側が散財するとなると、残るは3月14日のホワイトデー。大いに期待したいところだ。しかし、台湾にはホワイトデーはない。もっとも、もしあったとしたらまた男性が女性にプレゼントを贈ることにもなりかねない。

女性が優遇される行事が続く

既に「男女平等」で記述したように、台湾男性の存在は薄くなっていて、更にバレンタインデーにおいても台湾男性は主役にあらずということはよくわかった。

女性だけの祝日もある

しかも、バレンタインデーが過ぎたと思ったら、追い打ちをかけるようにやってくる3月8日は、国際婦人デー『婦女節』であり、女性は堂々と職場や学校を休む特権を行使する。

父の日はどうだろう

かろうじて8月8日の父の日があるものの、5月第2週目の日曜日の母の日に比べると、やはりどうしても見劣りする。しかも、ほとんどが平日で、明らかに不利である。

しかも、未婚男子はその数には入らない。

全ての男性が祝ってもらえる唯一の日は誕生日

プレゼントに関して言えば、台湾女性はもらったらもらいっぱなしのような気がする。

男性が女性からプレゼントを貰える可能性があるのは誕生日くらいなものである。

但し、相手が覚えてくれているという前提が必須条件とはなるが。 それこそ1年に1回きりのチャンスである。

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