日本で肉と言えば牛豚鶏が主体になるが、台湾の肉の種類はそれよりも多い。台湾人は、チャレンジ精神が旺盛なのだろうか。
台湾で一般的に出される料理には肉を使った料理が多い。
広く一般的に食べられている豚肉
台湾にも豚肉・牛肉・鶏肉と様々な肉があるが、豚肉は最もポピュラーと言える。豚の角煮や、『香腸』(ソーセージ、腸詰)、『肉燥』(ルーロー、肉そぼろ)等が有名である。
菜市場については「活力あふれる台湾市場」で既に述べたが、そんな生鮮食品を売る露天が集まる菜市場に行けば、豚肉を売る店が圧倒的に多い。恐らく肉類では消費量が一番多いのだろう。
そして、豚に付いている肉なら、眼球や骨や毛を除けばほとんど食べてしまうようで、豚足はもちろん頭の皮まで売っている。
何故、台湾では豚肉が多く消費されるのだろうか。考えられる原因の一つに値段が安いことと、仏教徒が多いことが挙げられよう。仏教徒は牛肉を食べないから、豚肉の消費量を押し上げるのだろう。
仏教で牛は、農耕で畑を耕し、重いものを乗せた車を引っ張り、働き者で神聖である。そんな生き物を食べるのは罰当たりと言うわけらしい。
というわけで、「台湾式参拝の仕方」で既に述べたが、神様に捧げるお供え物に豚肉が用意され、食卓に上ることになる。
若者に人気の鶏肉
豚肉に次いで鶏肉もよく食べられている。町ではマクドナルドに次いでケンタッキーフライドチキンも若年層に人気がある。但し、台湾のケンタッキーの味付けは濃い目で、進出国によって味付けを変えているようであり、食べ比べてみるのもいいと思う。
さて、日常食べる一般的な鶏肉は二種類あり、皮が黒みがかった烏骨鶏もあり、滋養成分が豊富ということで人気がある。
鶏肉の調理法は、照り焼きあり、漢方薬で煮込んだものあり、唐揚げありで、レパートリーが多く、その人気も高い。外がカリッと揚がった唐揚げ等は屋台でもよく売られているので、気軽に食べられる。
また、鴨肉とガチョウといった鳥肉も入手しやすく、当たり前の顔をして日常の食卓に上る。
洋食と言えば牛肉
豚肉、鶏肉について述べ、後回しになった牛肉はどうなのだろうか。
牛肉は、アメリカやオーストラリアから輸入され、前出の牛肉を食べない人々を除けば牛肉もなかなかの人気がある食材である。
しかも、夜市の屋台では日本円にして500円ほどでステーキが食べられたり、台湾のステーキチェーン店があり、とても身近に感じる。
ステーキは『牛排』と呼ばれ、濃厚なステーキソースをかけて頂くのが主流である。ソースは『黑胡椒』(ブラックペッパー)か『蘑菇』(マッシュルーム)の2種類を置く店が多い。
再生時、音量注意
私はおいしいものを求めて食べ歩くグルメではないが、たまたま台湾南部の墾丁公園にある『凱撒大飯店』(日本アジア航空出資のホテル※日本アジア航空は既にありません)内のレストランで食べた仔牛のステーキは最高でした。
珍しく塩と胡椒をかけて頂けたのですが、肉質は柔らかで、値段はランチコースで確か三千円ほどであった。
牛豚鶏以外
ここ迄は日本人にも馴染み深い肉ばかりだが、ここからはちょっと変わり種を紹介していこう。先ずはマトン肉(羊の肉)。日本でも食べる人はいるが、特有な臭みがあるということで、好まない人もいるようである。
それが台湾だと、口に入れる機会は多い。
季節は特に冬。食せば体が暖まると言い、漢方薬と一緒に煮込んで鍋にする。
お薦めは『羊肉爐』。
再生時、音量注意
恐らく漢方の香りで生臭さが消えるのだろうか、寒い日にぐつぐつ煮込まれた羊肉爐を食べると体が芯から暖まり、羊肉はこんなにおいしかったものなのかと感動する。
そして、同じく季節は冬。屋台の提灯に『香肉』の文字を掲げるその店は…。犬の肉の料理を出す。香肉という字面からは想像しがたいが、実際はなかなか臭い肉らしい。
私の回りの台湾人の間では悪評高く、げてもの扱い。
ちなみに同じ犬の肉でもランクがあって、黒い毛並みの犬が一番おいしく、二番目に赤茶系、一番まずいのは白い犬だそう。
冬になると町を我が物顔で徘徊していた色黒の野良犬が減ると言うが、もちろん真偽は不明である。
犬の肉は、滋養強壮の食材らしいが、蛇も同様と聞く。
犬の肉はこそ食べたことはないが、蛇肉入りのスープは食したことがある。
肉そのものは淡白であるが、スープは漢方薬が利いていて、心地良い自然でほのかな甘みがある。
犬の肉や蛇肉の料理があると聞けば、大抵の日本人は驚くだろうが、日本人は馬肉を食べると言えば、台湾人も同じように驚く。果たしてどちらの驚きが大きいだろう。 また、肉はもちろん魚まで一切口にしないベジタリアンの道教の信徒もいる。一定数の彼らがいるから、「素食を食べれば、肉食なしの生活もできる」で記述したような精進料理のお店も多いのだろう。