[1990年代の台湾] 台湾で知る本場ウーロン茶は黄緑色

日本に居ながらにして台湾の物も買えるが、本場と違っていたりする物を気付かずに当たり前のように使っていることがある。

日本人にとって馴染みのない物なら、価値観が見いだせないまま、日本市場に投入しようとする場合などには、安価な物を投入せざるを得ない事情もあるのだろう。

茶色のウーロン茶は粗茶だった。飲むべきは黄緑色

日本には茶色のウーロン茶が多い。

もっとも台湾のコンビニやスーパーにある缶やペットボトルのウーロン茶も茶色なのであるが、台湾人家庭で飲まれるウーロン茶は黄緑色である。

後に、茶色のウーロン茶は総じて低価格品であることを知ることになる。

飲み比べると、茶色のウーロン茶は日本茶で言えばほうじ茶で、黄緑色のウーロン茶は緑茶である。

好みの問題であるが、茶色の安いお茶は喉に引っ掛かるような渋味が後々まで尾を引くが、黄緑色の方は喉をすんなりと通過し、口にほのかな甘味が残る。

更には高級品だと、ミルクのような香りがあるらしい。

再生時、音量注意

参考動画(引用:YouTube)

台湾のお茶会はしゃれている

台湾人にお茶に呼ばれる。場所は「珈琲党か紅茶党か」で触れた茶芸館や、家庭である。

茶葉はデリケートに扱い、淹れ方はダイナミック

茶葉はとてもデリケートとされ、手の匂いや脂分が吸着して、風味を落とさないために、専用の道具を使って急須に入れるほど。

続いて、急須になみなみとお湯を注ぐ。

そして、蓋をして、その上から急須全体にお湯をたっぷりとかけて、茶葉を蒸らす。

一番煎じは茶葉を洗う感覚で飲まずに茶器に注ぎ入れ、茶器が暖まったら捨ててしまう。

急須の蓋を開けて覗き込めば、あんなに丸まってよじれていた茶葉が開いている。

客人としてお茶に呼ばれた場合、お作法の過程は全て相手がやってくれるから、自分は飲むだけと思って肩から力を抜いて気楽にしていればいい。

香りも楽しみつつ可愛らしい茶器で飲む

さて、台湾の茶道具は小振りだ。

湯飲みは盃ほどで手の中にすっぽり納まるサイズである。

時々、そんなお茶が注がれた湯飲みが二つ目の前に置かれることがある。

細長い湯飲みは『聞香杯』と言われ、もう一つの空の湯飲みである『茶杯』にお茶を移し空にして残り香を楽しむ容器である。

そして、お茶が移された茶杯のお茶を飲む。

後は遠慮なく好きなだけおかわりができる。

再生時、音量注意

参考動画(引用:YouTube)

行儀よく飲むだけでよい台湾の茶道は自由で気楽

以上が一般的な飲み方だが、始終、和気相合と進行していく台湾の茶道。何も身構えることはない。

気心の知れた友人同士なら『聞香杯』などなく、おしゃべりしながら気軽に茶杯に直接注いで飲む場合がほとんどである。

そして、お茶やおしゃべりを楽しみながらお茶菓子を頂くのが台湾のお茶のスタイルである。

台湾のお茶は老いも若きも気軽に茶道具を囲んで親しめる道楽である。

更には、客が自慢の茶葉を持ち寄るのも失礼に当たらない。

高嶺の花の茶葉もある

台湾人のお茶好きは、各地方自慢のお茶が一堂に集められて鑑評会が開かれることからも伺い知ることができる。

入賞したお茶は一缶分『一斤(※台湾の重量単位で約600g)』で何十万円もの値が付く。

再生時、音量注意

参考動画(引用:YouTube)

また、それを買う人もいる。

受賞茶を飲んでみた

私には無縁であろうと思っていたら、飲む機会に恵まれた。

ただ、残念なことにお茶の味を鑑定する舌を持っていなかったので、おいしいとは言えてもそれ以上の言葉は出てこない。

先ほど高級茶はミルクの香りがすると書いたが、それを一番最初に教えてくれたのがこの人であった。

しきりに「ねっ、するでしょう?ミルクの香りがするでしょう?」と耳打ちされたが、わからずじまい。さぞかしがっかりされたことだろう。

すみませんでした。いつの日か、ウーロン茶飲み比べの旅に出ます。

神の舌?

しかし、味の分かる人は口に含んだだけで、善し悪しはもちろん、どの山でいつ頃採れたものかが分かるらしい。

良質な茶葉の買い方のポイント

空港やホテルなど観光客が集まるような店は避けたい。パッケージだけが立派で、中身は安い茶色のウーロン茶であることも多い。

できれば地元民が利用する街のお茶屋さんがよい。街を歩けばすぐに見付かるはずである。

茶葉選びは季節がポイントで、一番良質なのは春茶であり、二番目には冬茶がお薦めである。

買うときにどの季節のお茶が欲しいか指定するとよい。

また、試飲もできる。

そして、一斤(一缶)単位で買う。

また、一斤で千元以上なら、そこそこの茶葉が手に入る。



値打ちのない部分が日本に輸出されていると言うけれど

日本ではどうしてグレードの高いウーロン茶を見掛けないのだろうか。

台湾の業者か、日本の業者に問題があるのかは不明であるが、ある人は台湾で見向きもされぬものが日本へ輸出されているという説を唱える。

さて、ここは清らかな水と空気に恵まれた阿里山。わさびの名産地である。

観光ガイド氏がユーモラスに話している。

一本のわさびを上・中・下の三つの部分に切り分けると、上と下の部分は価値がなさそうだと考えた商人は、真ん中を台湾国内用に残し、端の部分を日本へ輸出した。

しかし、実際は端の部分が一番旨味があって価値ある部分であったそうである。 さて、少なくともウーロン茶に関しては、上等な茶葉は台湾で消費し、その他の部分が日本に輸出されているようにもえるのだが…。

現在、取扱業者が増えたこともあってか、日本国内でも良質なウーロン茶が出回り始めているようであるが、現地で買うのが安心だし、楽しみの一つである。台湾のウーロン茶は、以前は『凍頂烏龍茶』が有名であったが、今は『高山烏龍茶』が主流になっているようである。

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