[1990年代の台湾] 台湾の伝統的な健康飲料と健康食品

台湾では漢方薬を薬として扱う以外にも普段の生活に取り入れて、健康維持や増進に古来から使用しているようで、その伝統は今にも続いている。台湾で生活していると、町や身近な店でもそういった光景を見掛ける。このような伝統を目の当たりにする度に、関心もするし、見ていて気持ちのいいものである。台湾人は、新しいものも追いかけるが、同じように古いものも大切にしている。

夏にも冬にも薬草茶

庶民の台所である、菜市場を歩いていると、野菜や魚を売る店に混じって薬草を店先にどっさり積み重ねて売っている『青草商』なる店がある。

薬草は青々した生のままか、半乾きで、草の青臭さが辺り一面に漂う。

客の体質や病の諸症状に照らして何十種類もの薬草を配合し、客はそれを家に持ち帰って煎じる。

また、大衆に健康飲料として愛されるポピュラーな薬草茶やジュースは店頭売りで、冷蔵ケ-スやステンレスの円筒形の樽に『青草茶』や『養肝茶』が入っている。

『青草茶』とは夏に活躍する飲物で、火照った体を冷ます暑気払いの作用があり、『養肝茶』は字の如く深酒などで疲れきった肝臓に活力を与える飲物だ。

両者共に本来の味は苦いはずだが、飲みやすいように糖分を加えてあるので、多少のほろ苦さがあるが、飲みやすい。

炎天下、額から玉のような汗を流す近所のおじさんやおばさんが気軽に立ち寄っては店先でコップ一杯の薬草茶を喉を鳴らして飲み干したり、ペットボトルに入った薬草茶を買い求めたりする光景もよく見られる。

再生すると音が出るので注意

参考動画(出典:YouTube)

所変わって、町のコンビニには缶コーヒーや缶ジュースに並んで、冷蔵ケースに紙パックや缶入りの青草茶の親戚のような『仙草茶』が置かれている。

また、街角に『焼仙草』の看板を出す屋台もあり、これは夏には冷たいゼリーになり、冬には温めてとろみがついたものをスプーンで掬って頂く。

形状はどうであれ、広く民衆の間に知れ渡り、都会の巷にまで浸透している。

敷居が高そうな薬膳料理は屋台にもある身近なもの

台中の中華路の屋台街には『薬燉排骨湯』なる看板を出している店がある。『薬燉』とは漢方薬でじっくり煮込んだという意味であり、 『薬燉排骨湯』は漢方で煮込んだ豚の骨付き肉が十本位入ったスープである。

漢方のお陰で豚肉の臭みもきれいさっぱり消えていて、意外にもあっさり味である。

油を使った料理に飽きてあっさりしたものを食べたくなると、『薬燉』の看板を出している屋台や食堂を見ると、つい入りたくなる。

庶民的な料理以外にも漢方薬を使った料理には本格的な『薬膳』もあり、高級店になると、店に専属の漢方医がいて、客の体質や病状に合わせて、漢方薬を吟味し、その人に合った料理を作ってくれる。

漢方薬の中には副作用や刺激の強いものもあるが、世間一般に言われる体質改善などに使われるものは薬性は穏やかで、体にやさしいものが多い。 台湾に来たら、薬の文字に恐れをなさずに、是非お試しあれ。

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