[1990年代の台湾] 珈琲党か紅茶党か

台湾は、年間通して暑い日が多く、熱中症対策にも水分補給は頻繁にしておいた方がいい。街中には、ジューススタンドもあるが、手軽に利用するなら喫茶店なのだが、紅茶専門店の方が値段も店の多さも勝る。

コーヒーの値段が高い

台湾にあってのんびりとした雰囲気の台中には、喫茶店が多い。地元民に聞くと、台中には暇人が多いからだと言うが、それにしてもポピュラーな飲み物になっている。それだけ広く飲まれているにも関わらず、一杯の値段が高い。

初めて台湾で飲んだ時に、自分の目を疑いたくなるほど高くて驚いた。どう換算しても、日本のコーヒー代より高く、何かの間違いかと思ったくらいだ。

日系のコーヒーショップも参入し始めた

日系企業に勤める台湾人によると、台湾勤務の日本人達は暇を見付けては、カップにお湯を注ぎスプ-ンでせっせと掻き混ぜているとあきれ顔で言う。そう、確かに日本でもポピュラーではある。しかし、台湾ではインスタントはあまり飲まない。

そして、最近では日本のコーヒーチェーン店が台湾に進出し始めている。しかも、値段が安く、早くも市場に食い込んだ感がある。高値志向の地元店に、安値志向店と相揃って、消費者の選択の幅も広がった。

人気に火がつく紅茶専門店

喫茶店に並んで紅茶屋も多い。喫茶店では紅茶も売るが、『泡沫紅茶店』と呼ばれる紅茶専門店もある。「バブルティーショップ」とでも名付けようか。

なぜ紅茶に泡がつくのか。この店ではカクテルシェーカーで紅茶と氷を攪拌した後、グラスに注げば、泡の層を伴うアイスティーが出来上がる。

炎天下、冷たい飲物をいち早く作ろうと、器用に考えた末に捻り出された傑作だろう。

発祥地は台中で、既に台中名物である。多くは開放的な店構えで、誰もが気軽にやってくる。そんな飾らない雰囲気が広く民衆に受け入れられたのか、店の数は大幅に増加した。また、台中を足掛りに台北へ飛び火する勢いも見せる。

「泡沫」の日本語読みは「うたかた」。はかなく消える意味もあるが、泡沫紅茶店だけは消えてなくなりそうにない。

紅茶専門店以前は、茶芸館がある

この紅茶専門店から話が外れてしまうが、台湾には『茶藝館』という古典的な喫茶店がある。

茶藝館の店内には茶室が幾室もあって、店が茶道具一式、茶葉、茶菓子を用意してくれる。

茶葉の多くは、ウーロン茶である。ウーロン茶と言っても、台湾の上等なウーロン茶は緑茶に似ている。

また、お茶菓子は、フルーツの砂糖漬け、塩辛くない梅干、スイカの種等の乾きもの主体である。




後は、客自身が静座してお茶を頂くまでのお作法をする。茶道に通じるようだが、自分で茶芸館で楽しむ分は、礼儀作法にはうるさくない。

再生時の音量注意

参考動画(出典:YouTube)

泡沫紅茶店に対して、茶藝館は静かで落ち着いた雰囲気のお店が多く、各地に健在している。

現在、コーヒーも紅茶も台湾産があり、いずれも評価が高いようである。コーヒーではスターバックスや地元のコーヒーのチェーン店もあり、またバブルティーの店では「春水堂」が日本進出を果たす等、この業界も元気である。