[1990年代の台湾] 懐が深い台湾の神様

台湾には廟が多く各地に分布する。そんな廟や廟の神様を祀る行事も多い。台湾の廟は、台湾人にとって生活に密着した存在であり、普段から参拝客が多いし、廟の行事にも大勢集まり大賑わいになる。台湾にも縁日があり、昼も催し物があるが、馴染みやすいのは夜の催し物。

廟の行事は地域住民の娯楽の一つ

台湾の夜の繁華街は賑やかである。商店は夜22時まで営業し、屋台や飲食店は深夜まで営業している。

繁華街を抜けて闇夜の続く郊外に出て、闇夜にぽっと浮かぶ明かりを目指すと、そこには屋台が立ち並ぶ夜市があったりするが、通り慣れた道沿いにあると、注意を払わずに通り過ぎる。

ある日、通り慣れた道を行くと、普段なかったはずの明かりが闇夜に浮かび、大音響の音楽と歌声、そして司会の声が次第に大きくなってくる時がある。

台湾では廟會と言って、日本で言うところの縁日である。

夜のメインはステージ舞台のショーである。

喜んで見るのは神様

臨時に張られた特設屋外ステージを照明が照らし、ステージで踊る女性を照らし、歌声と伴奏が夜空に響き渡る。

観覧料はもちろん無料で、ステージ前には近隣住民が大勢詰めかける。集まり賑わう。立ち見する人々、家からプラスチックの椅子を引きずり出して座って見る人々等、どの人も思い思いに楽しんでいる。

ライトで照らされるステージ上の彼女達が袖を通す派手な衣装は薄く、歌や踊りで場が盛り上がる度に観衆からどよめきと喝采が巻き起こる。そして、近隣の子供達が辺りを走り回ってはしゃいでいる。

日本で言えば、神社で堂々と肌も露に歌ったり、踊ったりするので、神様の前で何事かとお叱りを受けそうだが、台湾ではその神様に見せるためだそう。廟がお金を出してショーの一座を呼び寄せている。台湾の神様はきっと寛大で、目を細めて見ているに違いない。

エスカレートし過ぎることもある

舞台ショーは、踊りの合間に漫談等を挟みながら進行していくので、一家揃って楽しめる構成になっている。

それでも、プログラムが進行するにつれて、舞台に立つ女性の着衣が少なくなる場合があり、そんなときにはどこからともなくやってきた警官の姿が目立つようになる。

時々、警察の取り締まりに遭ったという新聞記事を見掛けることが稀にある。

台湾の縁日も夜間がメイン

台湾の街を移動すると、時々その現場に出食わす。時間的には、日没頃から夜21時頃まで。

ショーの事前告知はあるのかもしれないが、それを聞いた覚えはない。そもそも神様に見せるためなので、人間に知らせる必要はないのかもしれない。

再生すると音が出るので注意

(出典:YouTube)

出し物は舞踊ショーだけではない

廟會の演目は、前出の舞踊ショーだけでなく、布袋戲と呼ばれる人形劇もある。 この布袋戲は、台湾の伝統芸能であり、昔話を人形を使って表現する。但し、この布袋戲は継承者が少ないからか、舞踊ショーの方が開催頻度が高い。

再生すると音が出るので注意

参考動画(出典:YouTube)