[1990年代の台湾] 料理のベースは和食?でも甘口!

暑い国に住む人は辛い物を食べると聞いたことがあるが、台湾は必ずしもそうとは言えない。そればかりか、辛い物が苦手な台湾人も多くいるし、味付けはむしろ甘口のように思われる。

そして、台湾で料理を食べ進めていくと、どことなく和食に似ているような気がしてくる。

歴史や地理的な条件プラスαを考えれば、「和食+甘口+油=台湾料理」と言えなくもない。

お馴染みの料理は甘口が多い

台湾に来ると、日本で培った固定観念が単なる先入観として脆くも崩れていくことがある。

料理の見た目と、そうあるべく味覚が異なることに度々遭遇することになるからである。

ソーセージ

台湾のソーセージである 『香腸』。

見た目に普段見るソーセージと外見は変わらないので、食べれは塩味があると思いきや甘い。

外食では生にんにくと一緒に食べる。

家庭料理の一品で出されれば、ご飯のお供になる。

冷奴

豆腐の冷奴は、上に刻み葱でなければ、『肉鬆』という肉をほぐしておぼろ状にしたものを乗せ、そこに『油膏』と呼ばれるとろみ醤油をかけて頂く。

肉鬆も、とろみ醤油も甘口である。

豚肉を使った定番料理

所謂ルーロー飯やルーロー麺として台湾名物になっている『肉燥(滷肉)飯』や『肉燥(滷肉)麵』と呼ばれる豚ひき肉がたっぷり乗ったどんぶり飯や麺の味付けも甘い。

他にも豚の角煮や、豚足等も総じて甘口である。

たけのこ

台湾ではゆでたまこも竹やスライスした竹の子の上にマヨネーズをかけてよく食べるが、そのマヨネーズが甘い。

甘さのフルコース

ある日の食卓には、上述した台湾ソーセージに、とろみ醤油をかけた冷奴、そして肉燥が乗ったご飯の、甘口3点セットを食べることがある。

料理が甘口である由来

台湾は南方に位置して、古くはサトウキビ栽培が盛んであることから考えれば、食事の味つけに砂糖をふんだんに使っていても不思議ではないと思われる。

日本と共通点が多い味付けと料理

台湾の家庭料理は、その味付けから明らかに和食ではない印象をまず持つ。

しかし、よく見ると、和食との共通点が多々あることに気付く。

醤油

前述の冷奴に甘口のとろみ醤油について記述したが、このとろみ醤油は主に冷菜に使われ、また、表面がつるっとした豆腐等によくからむ。

但し、豚足や煮魚等の煮込み料理の他に刺身には普通の醤油が使われることが多い。

キッコーマン等の日本製も売っているが、台湾メーカーのもある。

味噌

みそ汁も家庭やレストランの料理にも何気なく出てくる定番のスープである。

この味噌も甘口なのだが。

かつおだし

近所にある火鍋を売る店の火鍋に入れるだし汁は、かつお節を使っただしであった。

間近で仕込みを見ていたのであるが、かつお節のふわっと漂う風味は、日本でかぐ香りともちろん一緒である。

調理法は中華料理

以上、見てくると、甘口以外は和食に似ている点が多いが、下記のような調理の仕方によって和食とはどんどんかけ離れていくような気がする。

調理器具

先ずは調理器具に中華包丁に中華鍋が登場する。

重い中華包丁を振り下ろし、食材をダイナミックに骨と一緒に切り、中華鍋に放り入れることは既に「食事作法は豪快に」に記述した通りであり、このあたりから和食と離れていく。

調理法

前出のように中華鍋が登場すると、火力の強いコンロに乗せられ、炒めものに使われることが多くなる。

そして、その際には大量の油が使われがち。

スーパーで売られているサラダ油の容器も特大サイズが多い。

日本だと容器は1リットルが普通だが、台湾では3リットルが普通サイズである。

野菜炒めに肉炒め、チャーハンに焼きそばだけでなく、日本だとグリルに入れる魚までも威勢よく炒められる。

ちなみに台湾では、グリルが付いたガスレンジ台をほとんど見かけない。

冷めた料理はまずいと言うけれど

日本に来る台湾人は、何故日本では冷めた料理が多いのか、冷めた料理はあまりおいしくないと言う。

確かに台湾人は、熱い料理を好む。

しかし、油を多用した料理だと冷めれば酸化が進み、おいしくなくなる。 ここまでくると、調理法によって和食から更に遠ざかった感がある。

現在、若い人を中心に辛い物ブームがあり、麻辣火鍋のような大辛な料理を好む人達もいる。