[1990年代の台湾] 発展しても根強い人気の映画と観る作法

台湾の生活は、物質面では日本とそれほど相違ない。気軽に車が買えるようになり、家にテレビが二,三台あったりする。近代化で自転車からオートバイ・自動車へ、ラジオからテレビへと、古い物が少しずつ減っては新しい物がどんどん生活に投入された。そして、テレビからは更にビデオが普及するに至った。ホームビデオで映画が見られるようになったが、映画人気は高止まりのままである。

依然人気が衰えない映画は娯楽ランキング上位

人々が気軽にビデオ機器を買い求められるようになってから、街のあちこちにビデオテ-プのレンタルショップの開業が相次いだ。劇場公開されたものも、やがてテ-プに収まって登場する。しかし、どんなに映画がビデオ化されても、映画館の人気はさほどの陰りは見えない印象だ。家でみる映画は、映画館には勝らないと聞いた。

映画館は中小都市にも満遍なくあって、しかも軒数も多い。そして、最終の上映開始時間が夜中の十二時もしくは一時頃まで。上映されるのは主にアメリカと香港もの。また、最新話題作も日本より早く封切られ、鑑賞人口の多さを裏付ける。そんな映画鑑賞は常に余暇活動のランキング上位である。

指定席にこだわらない大らかさも必要

日曜日や夜になると映画館周辺は、友達同志・恋人達・家族連れと老若男女総出で賑わう。鑑賞人数の多さが料金に反映するのか、日本の約二分の一の値段。

指定席にさほどこだわらないのか、他人が自分の席に座っていることもある。チケットを見せながら話しかければ、大体は空けてくれるが、それに構わずに適当な席を見付けて座ってもいいだろう。電車やバスの指定席でも同様のことが度々起こる。

映画鑑賞に起立して国旗掲揚

着席し上映時間になると、頭上の照明が消えてスクリ-ンに明々とフィルムが映し出される。企業広告、話題作の紹介フィルムが流れていくと、突然風にはためく旗が映る。それは台湾の国旗で、館内に流れるは国歌演奏。周りの観衆が一斉に立ち上がり、神妙な面持ちでスクリーンを見る。所謂、国旗掲揚である。マナ-の一つと考えて、私も毎度立つことにしている。 今日を迎えて消えないものに洗濯板もある。街の雑貨屋で売られ、まだ人々に重宝がられている。洗濯機はあるが、それでは落ちない汚れを先ず手洗いで落とすため洗濯機と兼用で使う。以前から洗濯板があることは知ってはいたが、実際に見たのは台湾に来てからのことだった。

現在でも、台湾では映画は相変わらず皆の娯楽になっています。その人気を反映してか、日本より封切が早い洋画があるほどです。しかし、国歌が流れて皆が起立する場面はなくなりました。また、最近では台湾製作の良作もすっかり増えて時々日本でも上映されています。