[1990年代の台湾] 台湾の中・高等教育

台湾の義務教育は、小学校と中学校であり、そこで基礎学力をつけた後に中・高等教育に進んでいくが、学校の種類が幅広く、選択肢も多い反面、高校進学時に進路がほぼ決まる。

高校の授業科目には日本ではお目にかからない台湾ならではの履修科目がある。

学制と学科の概要

台湾では、工業高校や商業高校等の技術系の高校が多い。また、3年制と5年制の学校があり、後者は高校と専門学校を併せたような学校で、9月入学である。

学科は、工業高校では機械デザイン科、土木測量科、土木工程科、コンピューター科、電子工学科等、商業高校では国際貿易科、観光科、英文科、レストラン経営科、美容科等があり、バラエティーに富む。一般的な高校は、『職業学校』であり、卒業生の多くは就職するが、必ずしも履修科目に関係ある就職先とは限らない。

上記のような技術系高校以外に大学進学に的を絞る3年制の進学校もある。従って、高校受験の結果によって進学組か就職組か大まかではあるが分かれる。

夜間部の学生も多い

また、昼間部の他に夜間部もあり、学生数も相当数いて、台湾では公私共々広く認められている。

日本で夜学と聞くと年齢層が高そうなイメージがあるが、台湾の夜学は若者が多い。そして、明るい学生が多い。22時頃の下校時には校門から学生が一斉に出てきて、周辺は笑い声と元気一杯の話し声が渦巻く。

台湾も学歴社会なので、進学競争も厳しく、進学校に続き、5年制、3年制、そして夜学部まで用意されているが、中学卒業の年齢で進学組か就職組か、ほぼ確定する仕組みといい9月入学といい、どことなく西洋風である。

留学で更に広がる選択肢

台湾では留学を選ぶ学生も多い。

行き先は、アメリカ、ヨーロッパ、日本、オーストラリア等多様である。彼らのような留学組は、二つに大別できる。

一つ目は根っからのエリートで台湾の大学を卒業して更に外国で研鑽するグループである。

そして、二つ目はいわば人生逆転を狙うグループであり、早期に将来が決まる学制が影響しているのかもしれない。

台湾の状況を反映した履修科目

台湾の高校に一風変わった共通科目がある。

一つ目は『三民主義』で、孫文が唱えた民族、民権、民生の三原則を学ぶ。 二つ目は『軍事訓練』である。各高校には軍隊から選ばれた軍の制服を着た『教官』が常任し、学生達は教官の下で、屋外の行軍演習、演習場で銃の実射訓練を受ける。台湾の最高学府である台湾大学を目指す学生にとっても必須科目である。

「三民主義」は日本で言うところの「公民」みたいな科目らしいです。今では、あまり重視されていないようです。但し、「軍事訓練」は今でもあるようです。やはり国情が反映されているのでしょうね。

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