[1990年代の台湾] 青春の過ごし方

思春期を迎えると、人は異性を意識し出す。鏡を見る回数が増え、髪の毛をいじり始める。女子はお肌の手入れに気を遣い、色白を保つのに懸命だ。

もちろん、それだけでなく、台湾人の遊び方の幅は広い。

周囲を海に囲まれてはいるが、海水浴はメジャーではない

台湾を説明するガイドブックによれば、海水浴場に水着姿の若い女性は少なく、その理由に保守的な国民性を指摘しているが、それよりも台湾人にとって海水浴はそれほどポビュラーなレジャーではないのは確かである。

泳ぐだけならプールがあるし、農歴7月は「鬼月」と言って水辺は危険だと忌み嫌われる期間が一か月続く。また、台湾の学校にはプール設備がないことがほとんどで、体育の授業に水泳もない。従って、台湾人には泳げない人が多くても当たり前のことになる。

それに美肌の大敵、強い日差しに長時間晒されるのも避けているようである。海水浴には興味と魅力が欠けていると思われる。

BBQはレジャーの王道

スクーターやオートバイに乗り出すと行動範囲がぐんと広がる。休日ともなれば、郊外の河川敷にバーベキュー(BBQ)をしに行く。こんな時こそスクーターが大活躍する。足をのせる部分に食材で大きく膨らんだレジ袋を置けるからである。

食材はバラエティーで、肉類、エビやカニ等の魚介類が若者には人気が高い。基本的に焼きソバは作らない。タレはBBQ醬(バーベキューソース)でスーパーや雑貨店で手軽に買える。このバーベキューソースは、刷毛ブラシも付いてきて、それをキャップに装着できる優れもの。

気の合う仲間達でわいわいしながら焼くのである。

卒業後はおしゃれに遊びに熱心

ファッションに敏感な若者達はファッション雑誌に目を通し、時には日本のファッション誌にも手を延ばすほどで、市内の書店棚に普通に見かける。読むより眺めているのだろう、異国の文字は大して気にならない。

女の子は学校を卒業すれば、スカートの丈は短くなり、服は柄の派手さに加えて、その生地は薄くなる。男の子も同様にセンスを磨き、服装に気を配って精一杯のお洒落をする。

この頃よりディスコやパブに出入りすることが多くなる。但し、一人だけで足を運ぶことは稀で、大抵は気の合う仲間と一緒に赴く。店内にはグループの輪が幾つもできる。

男女の友情はあり。恋人になったとしても友達扱い

台湾人の出会いのチャンスは、やはり学校や職場が多いようである。そして、友達に紹介してもらうケースが意外に多い。持つべきものは友なのか。そう言えば、妻と出会ったばかりの頃、彼女は友人に私を紹介しようとしていたらしい。当時は私も彼女の友達の一人だったからである。

男女が知り合うと、二人きりのデートより三人以上のグループとして行動することが多い。台湾では男女と言っても恋人ではなく、純粋に友達である場合がある。気が合えば、男女の垣根なく気軽に友達になれ、親友にもなれる。

もしも、恋人になった場合はどうなのだろう。やはりこの場合も、二人きりより他の友人を交えて喫茶店やボーリング場、或いは恋人を連れて友人の家から家へ遊び歩くことが多い。清く明るい男女の付き合いである。

いつの世も男は弱い

男尊女卑の風潮が劣勢に転じ、今では女性の社会進出も目覚ましく、重要なポストに収まることも多い。結婚後に仕事を持つ女性も多く、高給取りの女房を持つ男も多い。精神強く逞しく、仕事をてきぱきと処理するキャリア・ウーマン(華語では『女強人』)が多数いる一方で、物柔らかな女らしい人は少ないように思う。

一家の主は立つ瀬なく、女房は大きな顔をして家を牛耳る。それを見て育つ娘は、これ如何に。強い娘を恋人にした男にとって、メリットもある。彼女を誘い出し、飲んで、歌って、踊ってと遊びの数々を満喫した後、『買單(お勘定お願いします)』と叫ぶ役を彼女に担ってもらえる。

お金が絡むと、男女平等の世に生きるのも悪くない。しかし、度が過ぎると、彼女は他の男と腕を組んで、目の前から忽然と消え失せる危険性が足音立てずに忍び寄る。

現在もBBQ人気は続いています。ちなみに台湾人は、焼肉も大好きです。もちろんステーキも。BBQの発祥は端午の節句に誰かが始めたのがきっかけだそうです。しかも、台中から始まったようです。

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